KPIとKGIという言葉、一度は聞いたことありますよね。これらはWebマーケティングの用語ではなく経営戦略を練る際に使う用語です。最短で効果を出すのに有効だということからWebマーケティングでもこの考え方が使われるようになりました。ざっくりお伝えすると目標管理の手法ですが、抵抗があるのか詳しく知っている人は少ないです。

後述しますがこれらを知るとクライアントから「サイトからの受注を2倍にしてくれ!」なんていう無茶な要求にも対応できるようになります。今回は、そもそもKPIとKGIの意味と違い、知らない場合のデメリット、設定方法、KPI改善に便利なツールについてお伝えしていきます。考え方はシンプルで実践しやすいのでしっかり覚えてくださいね。

知っておかないとマズイ!KPIとKGIの意味と違い

知っておかないとマズイ!KPIとKGIの意味と違い

KPIとKGIの意味

KPI

KPIとはKey Performance Indicatorの略で、重要業績評価指標を指します。KPIは最終ゴール(KGI)を達成するための過程を計測する中間指標のことです。最終ゴール(KGI)を達成するには様々な過程を乗り越えることになります。その様々な過程の先で最終ゴール(KGI)を達成するためには、どうしても押さえておかないといけない「通過点」があります。KPIとは最終ゴール(KGI)の到達するまでの通過点にあたります。

KGI

KGIとはKey Goal Indicatorの略で、重要目標達成指標を指します。先ほども触れましたが要は目指すべき「最終ゴール」を意味します。例えば「1年後までに新規受注を30件から50件に増やす」「半年後までにリピート率を20%から40%に増やす」などです。

KPIとKGIの違い

これまでお伝えした通り、KPIとは「(最終ゴールまでの)通過点」、KGIとは「最終ゴール」を達成できているか確認するための指標です。しかし文章だけだとイメージが湧きづらいので、両者の関係性を開設するため以下に1つの例を挙げます。

例えば会社の方針として「1年後に売上を20%アップする」ことになったとします。売上を上げるためには「顧客数を増やす」もしくは、「顧客単価を上げる」という2つの方法が考えられ、「半年後までに新規受注数を10%増やす」と「半年後までにリピート率を30%に引き上げる」ことになりました。この場合、以下の様になります。

KGI=「1年後に売上を20%アップする」

KPI=「半年後までに新規受注数を10%増やす」

「半年後までにリピート率を30%に引き上げる」

マラソンに例えると更に分かりやすいです。フルマラソン=約42㎞を3時間で走る目標を立てたら、21㎞を1.5時間のペースで走ることになります。この「42㎞を3時間で走ること」がKGIに当たり、「21㎞を1.5時間で走ること」がKPIに当たります

知っておかないマズイ理由

KPIとKGIの意味と関係を知らないとWebマーケティングに携わる人にとって致命的です。これからは知っておかないマズイ理由についてお伝えしていきます。

適切な目標設定ができない

Webマーケティングに関わらずマーケティング活動では目標設定が必須です。クライアントからいきなり「1年後には売上を50%上げるサイトを作って欲しい。」と言われても困りますよね。「1年後には売上を50%上げるということは、半年後には25%上げなければならない。そのためにはコンバージョン数が今の5倍にならないといけない。そのためにはアクセス数が50倍にならないといけない。」など期限とゴールから通過点を逆算していくはずです。KPIとKGIの関係=通過点とゴールという関係を知らないとこの逆算していくという発想が生まれないため、クライアントの無茶な目標設定を受け入れてしまうことになります。

施策のペース配分ができない

先ほども少し触れましたが、両者の関係を知ることで逆算という発想ができます。つまり「この時点でこのぐらいの数字は達成していないといけない。」と目途が立てられます。目途が立つとアクセス数が足りない場合はリスティング広告を前倒しで進めるなどペース配分ができます。逆にペース配分ができないと序盤で予算を使い切り、後半でジリ貧になってしまうなどもあり得ます。

改善点が分からなくなる

KGIで「1年後に売上を20%アップする」、KPIで「半年後にはコンバージョン数が5倍になる」「半年後にはアクセス数が10倍になる」と設定したとします。1年後の売上は10%しか上がらず原因を調べると、アクセス数は問題ありませんでしたがコンバージョン数が足りないことが分かりました。するとコンバージョンのページ自体に原因があるのかなど改善点が分かります。逆にKGIとKPIを設定していないと「ゴールは達成しているかどうか分からない。通過点もクリアしているか分からない。」という状況になり何をどうしていいか分からない状況になってしまいます

KPIとKGIの設定方法

KPIとKGIの設定方法

ここまで両社の意味と関係、知らないとマズイ理由についてお伝えしてきました。ここからは具体的な設定方法をお伝えしていきます。

目標を設定する・・・その前に!

ただあるだけの「ボランティアサイト」にならないために必要なKPIとKGIですが、これから設定するサイトの種類によって当然目的も変わってきます。以下にいくつかの例を挙げます。

ECサイト

サイトからの注文を目的とするため、KGIは「(サイトからの)売上高」を設定すべきです。サイトからの売上高を増やすためには多くの人にできるだけ高単価で購入してもらう必要があります。そのため、KPIはアクセス数、コンバージョン率、1回あたりの購入金額などを設定します。

メディアサイト

アフィリエイトサイトの様に広告収入を増やすことが目的なので、KGIは「広告収入」を設定すべきです。広告収入を増やすためにはとにかく多くの人に見てもらう必要があります。そのためKPIはアクセス数、新規ユーザーのPV数、平均サイト滞在時間などを設定します。

ブランディングサイト

新商品や新ブランドの認知度を高めるためことが目的なので、KGIは「ブランド認知度」に設定すべきです。ブランド認知度を高めるためには多くの人に長くサイトに滞在してもらう必要があります。そのためKPIはアクセス数、PV数、平均サイト滞在時間、〇ページ以上閲覧した比率などを設定します。

カスタマーサポートサイト

商品のQ&Aや説明がある顧客満足度を高めることが目的なので、KGIは「顧客満足度」に設定すべきです。顧客満足度を高めるためにはサイト構成が分かりやすいか、実際の問い合わせ数が重要になります。そのためKPIはPV数、問い合わせ数、サイト内検索利用件数などを設定します。

上に挙げた様に、サイトの種類によって設定すべきKGIやKPIは異なります。そもそもサイトを立ち上げるにはビジネスや商品の受注、採用活動、広告収入、企業や商品のブランディングなど何かしらの目的があるはずです。KGIとKPIの具体的な設定に入る前に、「これからKGIとKPIを設定するサイトにとってのゴールとは何なのか?」を今一度よく考えてみてください。

KGI設定の流れとよくある失敗例

KGIとは目標の方向性を決めることです。まずは大まかな目的地を決めます。そこからKPIに落としていき最終的に今後の具体的なアクションまで決めていきます。したがってKGIの設定自体は特に難しいことはなく、「1年後にはサイトからの売上高を2倍にする」「半年後には広告収入を30%増にする」「2カ月後には新商品〇〇の認知度を10%から20%に上げる」「3年後には顧客満足度を平均☆4つ以上にする」などで構いません。

ただし以下のようなKGIは設定すると失敗しますので、いくつか挙げておきます。

期限が切られていない

期限がないと具体的なアクション時のスピード感が失われます。最悪の場合、当初とは異なる案が出てきて迷走状態に陥ります。こうなると立て直しは不可能ですので、必ず期限は切りましょう。

目標が数値化(定量化)されていない

例えば「売上高をかなりあげる」といっても人によって認識は異なります。全体の認識のズレも生みますし、何より達成できたのか、できなかったのかがあいまいになります。

高すぎる理想の目標になっている

KGI設定の時点であまりに現実味のない目標になっていると後々に響きます。KGIが高すぎるとKPIもかなりの目標を要求されます。するといざ振り返った際にKGIはおろかどのKPIも達成できなかった、なんてことにもなりかねません。そうすると施策自体は良かったとしても「施策自体がダメだった・・・」という誤った判断にもつながります。必ず無理のない目標設定にしましょう。

ケーススタディからみるKPI設定の方法

KGIの目標設定が完了したら次はKPIを決めていきます。KPIはKGIを樹形図のように分解して決めていきます。KGIと比べて複雑ですが、基本的には「期限」と「数値化した目標」があればいいです。

KPIを決めるうえで、仮定で以下の設定にします。

  • サイトの種類はWeb制作会社のコーポレートサイト。
  • サイトは問い合わせの窓口としての立ち位置で最終的には受注を目的としている。
  • ひと月当たりの問い合わせ数は3件程度、成約率は約30%程度。
  • ひと月当たりのアクセス数は1,000程度、コンバージョン率は0.3%程度。
  • 現在のサイトからの受注売上高は100万円。
  • KGIは「1年後にサイトからの売上高を200万円」に設定した。

こんな相談をされたら「売上を2倍にするのは骨が折れそう・・・」と思いますよね。ただ細分化して見ていけば無理な相談ではありません。順番に見ていきましょう。現在分かっている数字をまとめると以下の表のようになります。

現在1年後(期限)
売上高100万円200万円
受注件数1件
成約率30%
問い合わせ数3件
コンバージョン率0.3%
アクセス数1000

ここからどんどん「?」に数字を入れていきます。まず受注件数が1件で売上高が100万円であれば、受注件数を2件にすれば売上高が200万円になるはずです。次に成約率についてですが、ここは先方の営業マンによる要素なのでそのまま30%にします。すると以下の表のようになります。

現在1年後(期限)
売上高100万円200万円
受注件数1件2件
成約率30%30%
問い合わせ数3件
コンバージョン率0.3%
アクセス数1000

成約率30%で2件受注しようとすると問い合わせ数は6件必要です。しかし現在のままのコンバージョン率とアクセス数だと問い合わせ数は増えないので、両方の数字を上げなければなりません。仮にコンバージョン率を0.5%、アクセス数を1200にすると計算が合います。

現在1年後(期限)
売上高100万円200万円
受注件数1件2件
成約率30%30%
問い合わせ数3件6件
コンバージョン率0.3%0.5%
アクセス数10001200

表の通り1年後に「コンバージョン率を0.5%にアップ」「アクセス数を1200にアップ」すればKGIを達成することが分かりました。期限から逆算すると半年後には「コンバージョン率を0.4%にアップ」「アクセス数を1100にアップ」すればよいことが分かりました。これだと無理な数字ではありません。これがKPIになります。半年後までにコンバージョン率をたった0.1%、アクセス数を100増やせれば、サイトからの売上高2倍も可能なのです。こう考えるとグッと現実味がありますよね。現実味がないと具体的な話に落とし込めませんので、必ず達成できそうな範囲で設定しましょう。

余談ですが今回はKGIの期限が1年後と比較的短期間でしたので、KPIの期限を半年後にしました。KGIの期限が3年後など長期間になると、更にKPIを何層かに分けて設定する必要があります。以下のようなイメージです。

  • KGI→3年後に売上高を〇倍にする
  • KPI2→2年後までにアクセス数を〇〇にする
  • KPI1→1年後までにアクセス数を〇〇にする

ここまで決まれば「1カ月ごとにコンバージョンのページを改善する」「1週間に一度SNSへの投稿によりアクセス数を増やす」など次にやるべきことが見えてきますので実行していくだけです。「売上高を2倍にして欲しい」という一見無茶な要望も細分化していくことで達成可能になります。KGIとKPIの設定は知っておいて損はない上に、特に難しくありませんので覚えてくださいね。

KPI改善に必要なデータ取得ツール

KPI改善に必要なデータ取得ツール

KPIを設定したあとは必ず改善が必要になり、改善のためにはデータを取得する必要があります。ここからはKPI改善に必要なデータ取得に便利なツールをお伝えしていきます。

基本的にはこれで十分!Googleアナリティクス

Google アナリティクス - モバイル

Googleアナリティクス

Web制作に関わる人であればほぼ使用したことがあるのではないでしょうか。使ったことがない人向けに説明するとGoogleが無料で提供しているサイト改善のためのツールで利用者も他ツールと比べ断トツで多いです。利用するにはこちらのリンク先から利用登録を行い、発行されるトラッキングコードを改善したいサイトに埋め込むだけです。

基本的にはこのGoogleアナリティクスで必要な情報は取得できます。PDFやCSVでの発行も可能なのでクライアントへの説明にも便利です。ただ最初の設定をきちんとしていないと役に立たないのと、操作が少し難しいかも知れません。

基本的な設定方法についてはこちらの記事が分かりやすいため参考までにご覧ください。書籍も多数出版されています。

参考:【Google Analytics】正確なデータを取得するために必要な8つの初期設定(前編)|株式会社アーティス

レイアウトの改善に使える!User Heat

無料ヒートマップ解析ツール User Heat _ どこが読まれているか見えるアクセス解析

User Heat

こちらはユーザーの画面上の導線やクリックポイントなどを、ヒートマップ解析できるツールです。月間30万PVまでは無料で、以降は有料になります。(30万PVを超えても自動課金はありません。)Googleアナリティクスと併用して使うと効果的です。具体的にはGoogleアナリティクスで離脱の多いページやコンバージョンに至らないページを絞り込んだ後、このツールを使うと「問い合わせフォームへの入力を途中で止めている。」「意味のないデザインがバナーと勘違いしてクリックされている。」など多くのことが分かります。ビジュアル化する解析ツールなので、数字だけ見ていても分からない問題点を教えてくれます。特にトップページやコンバージョンページの改善に役立ちます。

利益を出すサイトを作るためには

利益を出すサイトを作るためには

KPIとKGIとは

  • KPIとKGIは最短で利益最大化させるには必要な考え方
  • KGIは目指すべきゴール、KPIはそこまでの通過点

両者を知らないデメリット

  • 「ゴールから逆算する」という発想ができないため適切な目標設定ができない
  • 同じ理由から施策のペース配分ができず、予算に悩まされる
  • ゴールと通過点がどこにあるのか分からなくなり、どう改善すべきか分からなくなる

KPIとKGI設定

  • まずはKGI(ゴール)から決める。その際に「期限」と「数値化した目標」は必須
  • 次にKPIを決める。KGIから逆算して、「いつまでに」「どのくらい」達成できていればいいのかを考える

KPI改善のために便利なツール

  • Googleアナリティクスで大体のデータは取得できるのでサイト内部の問題をあぶり出す
  • User Heatでデータだけでは分からないレイアウト上の問題をあぶり出す

KPIとKGIの意味と違い、そして設定方法についてお伝えしてきましたが、いかがでしょうか。今回は長文でお伝えしましたが、用語の意味ではなく「逆算する」という考え方を覚えて欲しいです。アクセス数や検索順位を向上させるにも結局はコンバージョンが必要だからです。最近ではOne to Oneマーケティングという言葉もあり、ユーザーひとりに対応することが重要になっています。KPIやKGIももちろんですが、ユーザーの気持ちを考えることがKPI達成、ひいてはKGIの達成につながることを押さえておいてくださいね。